はじめに:医療と工学のハイブリッド・アプローチ
まぼろし工房では、30年にわたり医療現場と並行して競技用具の調整を行ってきました。「体は医療で整え、用具(仕組み)は工学で整える」という方針のもと、膝の痛みに対しても独自の視点で研究を続けています。
1. 膝の痛みの根本原因:足元の崩れ(アーチの低下)
「変形性膝関節症」と診断された方の多くが、膝そのものだけでなく足元に課題を抱えています。工学的な視点で見ると、地面、靴、そして体は一つの直列した構造体であり、その土台である足元が崩れれば、膝に過度な負担がかかるのは必然です。
- 足元の崩れの正体: 小指が内側を向く「内反小趾」や「寝指」があると、足のアーチは容易に倒れ込みます。
- 膝への波及: 足元のアーチが低下すると歩行時の左右バランスが崩れ、重心が不安定になります。これが膝関節へのストレスへと繋がります。
2. 「膝の捻じれを発生させない」という新発想
従来の膝サポーターは、膝関節の可動を制限するものでした。これに関しては賛成です。しかし、私たちの研究目的は、工学的に**「そもそも捻じれを発生させない」**動作作りをすることです。
- ニーアウトの抑制: 歩行時に膝が外側に逃げる「ニーアウト」現象は、膝の外側の痛み(腸脛靭帯炎や変形性膝関節症の随伴症状)を誘発します。
・ニーインの抑制: 歩行時に膝が外側に逃げる「ニーイン」現象は、膝の外側の痛み(腸脛靭帯炎や変形性膝関節症の随伴症状)を誘発します。
- グラグラの制御: シューズ内で発生する「グラグラ(不安定性)」を抑えることで、効率的な動作が可能になり、膝への不意な衝撃を未然に防ぎます。
3. 実証データ:靴下という「用具」が変える歩行バランス
開発した「ラクちんソックス」は、単なる衣類ではなく、動作と重心に関わる機能を織り込んだ「用具」です。
- 歩行試験の結果: 開発試験において、靴下を履き替えるだけで歩行時の左右バランスに明確な違いが現れることが確認されています。
- 高齢者への応用: この重心制御技術は、ランナーだけでなく、膝の悩みを抱えながら歩行の安定性を求める高齢者の方々にとっても、大きな助けとなります。
4. 結論:20年後も歩き続けるための選択
「筋トレをしても膝の痛みが変わらない」という悩みは、動作の仕組み(用具)を見直すことで解決の糸口が見つかるかもしれません。 足元から重心を整え、膝への衝撃を発生させない仕組みを構築すること。それが、変形性膝関節症と向き合い、20年後も笑顔で歩き続けるための、まぼろし工房が提案する工学的解決策です。




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