工学から見るアーチの低下

医療とは別の視座で、

足のアーチが低下する理由について書いてみます。

複雑なものを単純に


アーチの低下、というと、
少し難しく聞こえます。

原因もいろいろ言われています。

筋力、靱帯、歩き方、年齢……

……それ自体は、間違いではないと思います。

ただ、少し不思議なのは──

それだけで説明しきれるなら、
ここまで多くの人が悩む理由が、見えてきません。

そこで、少し見方を変えてみます。


医療ではなく、
構造と力学の話として。

そうして見ていくと、

起きていることは、意外と単純です。

正常な動きから、外れている。

……それだけです。





歯車がひとつでも狂えば、
全体の動きが乱れるように、

足もまた、同じです。

だから必要なのは、

原因の名前を増やすことではなく、
どこで狂い始めたのかを見ること。

ソックスの違いによるアーチの変位の比較



その視点で、
アーチの低下を整理してみます。

力学と構造から見たアーチの低下


素足と、靴下着用時の足の形の違いです。 

靴下を着用すると、

足先が細くなっていることがわかります。

Source

足の形を変えてしまう靴下


中足骨が、足の裏に占める割合は約40〜45%。
足指は、約15〜20%。

つまり、

指の向きが変わるだけで、
立位では足裏の65%以上に影響が及びます。

靴下によって、足の形が変わると、

人間本来が持つ基礎設計、荷重配分に誤差がでうまれます。


すべての原因が、靴下にあるとは思っていません。
……それは、単純すぎる。

ただ、構造が変われば、荷重は変わる。

そして、動きも、形も変わる。
……それが、力学です。

アーチが落ちる3つの理由


1つ目。

小指が内側に向けられると、
スネの骨が回転し、つま先が外を向きます。

……少し難しいので、ここは一旦スルーします。
2つ目。

指先が閉じると
骨どおしの連結が緩み

足の強度が低下します。



3つ目。

足のアーチは、
お椀をひっくり返したような、

なだらかなドーム構造をしています。


指先が締められると、

足の裏に空間が生まれます。



そこに荷重がかかると、

その空間を押しつぶすように、
アーチはいびつに低下します。




以上をまとめると、

静止時にすでに“締まりの不全”があり、
その不十分な状態が荷重によって増幅され、
崩れとして表に現れます。



アーチの低下は、筋力で補える──
そんな考えもあります。


ただ、歩く・走るといった荷重下の
力学的な構造から見ると、
それだけでは少し難しく見えます。



なぜなら、

80kmトレールを完走できる筋力があっても、
ソックスの影響による
アーチの低下が観察できるからです。






👉️普通の靴下でなぜアーチが落ちたのか。



五本指ソックスについてはこちらを参照してください

👉️五本指ソックスを履いただけでアーチが落ちた理由│検証と解説

まとめ


足の形が変われば、足の裏や足首の形も変わります。
アーチの低下の原因は

歩き方のクセも、
筋力の問題も
年齢による変化も、

それ自体は間違いではありません。

…ただ、順番が逆かもしれません。

構造の崩れ


最初に起きているのは、

動きでも、筋力でもなく、

“構造のわずかな崩れ”です。

そしてそれは、

荷重がかかるたびに増幅され、

やがて、辛さという形で表に出る。




……そう考えると、

見えてくるものは、少し変わります。



鍛える前に、

整えるものがある。



直す前に、

崩さない方法がある。



そのひとつが、足元にある──

そう見ています。


👉 足の崩れはどこから始まるか